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腹腔鏡下避妊手術

人医では低侵襲医療として鏡視下手術が普及しておりますが、動物医療でも近年同様の傾向があります。
鏡視下手術とは細い硬性鏡を体内に入れることで、患部を大きく切開することなく小切開で処理をすることで、痛みが軽減され術後の早期回復をもたらし、退院までの期間が短縮され、術創も小さくなることもメリットといえます。
術者側としても、カメラを通じ拡大された視野の中で操作するため、細かい血管の走行を確認しながら作業を進められるために、丁寧な手術を行なうことが出来ます。

先般、15㎏の中型犬の腹腔鏡下避妊手術を行ないました。
通常の開腹手術では中型犬では10cm程度の切開創ができますが、腹腔鏡では各ポート1㎝程度を3か所切開します(第3ポートは摘出する卵巣・子宮のサイズによって開大します)。

このように3つのポートからトロッカーを挿入し、⓵電気デバイス、②硬性鏡、③鉗子を扱い操作します。


カメラ越しに卵巣にカウンタートラクションを掛けながら、処理していきます。


専用の長い電気デバイスを用いて処置します。


青線が通常の開腹手術ラインですが、比較的にコンパクトに済みますので、術後の回復はやはり早いと思います。
鏡視下手術は人医からの派生技術ですが、確かなメリットはありますね。
しかし、避妊手術に限っては当院では全ての動物に腹腔鏡下避妊手術を推奨していません。
体格、並行して他の手術を行なう(大型犬などの予防的胃固定)、オーナー様の考え、先天的基礎疾患の有無(被嚢性腹膜硬化症)などを鑑み判断します。


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