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インフォメーション : 2023年11月

外傷性腹壁ヘルニア

5㎏のトイプードルの子が1週間前にオスの超大型犬に咬まれ、立てなくなったとのことで来院された症例です。
胸から腹部にかけての内出血と腹壁の膨らみが認められたことから外傷性の腹壁ヘルニアと診断しました。
皮下出血は当初は一部だけですが、日ごとにこのように広がります。

外傷性腹壁ヘルニアは交通事故、口傷事故などによって発生し、臓器の外傷からの感染による腹膜炎、腹腔内出血、DIC などの血液凝固異常、多臓器不全に至る怖いものです。軽症であればよいのですが、死に至ることもあります。
本症例はその後緊急手術を行うとこのように腹壁の穿孔痕、大網の癒着、さらに進めていくと腹腔内に出血を疑わせる出血塊などが見られます。



幸い、腸管穿孔や脾臓・肝臓・膀胱などの主たる臓器の破裂には至らずでした。
口傷事故は大型犬といわずに小型犬同士でもあります。その殆どが噛まれ皮下出血ですむケースですが、こういうレアなケースもあります。
犬が噛む理由としては①病気(痛み、脳の機能異常)、②遺伝や飼育期や発育期の問題、③経験に基づく体罰・不安などの情動的行動などがあります。
散歩中やドックランで噛まれるシチュエーションはどうか・・・
①自分(噛まれる方)からぎゃんぎゃん吠え、威嚇して逆に噛まれる。
②お互いにクンクンして仲良さげにして急に噛まれる。
など・・・・
もう一つ多いな、危ないなと思うのが、
リードコントロールがなされていないケースで、特に子供やご高齢の方が手綱を握っているケースです。
特に大型犬だと力技で持っていかれます。
人もワンちゃんも怪我の無いような「わんこライフ」を願います。




会陰ヘルニアとは・・・

先日、高齢のワンちゃんで会陰ヘルニアのケース対応を致しました。
肛門左側が腫れており、排便障害と肛門からの出血、食欲も低下しておりましたので、この場合早急に外科的対応が必要となります。
この会陰ヘルニア、未去勢の10歳以上の高齢犬に認められることが多く、肛門周囲の筋群が慢性的に希薄化して、やがて裂開することで生じます。
ヘルニアを起こす腹腔内臓器の種類、その程度、期間によって様々な症状を呈します。
今回のケースではヘルニア嚢と共に小腸が脱出して血行障害を起こしておりましたので、早急に去勢+整復手術を行いました。
先日抜糸を行いましたが、術創の治りもよく、肛門周囲の筋群の張りも良好でした。また、食欲も戻り、排便もよく出ているとのことで、一安心です

2024年のカレンダーが出来上がりました!

11月に入り肌寒くなってきました。
ペットだけでなく、飼い主様も体調にお気を付けください。

さて、当院では11月20日[月]から来年のカレンダーをお配りさせていただく予定です。
ワンちゃん・ネコちゃん、それぞれ作成しております。

数量が限られておりますので、大変恐縮ですが無くなり次第終了と致しますので御了解ください。


🐕犬猫用🐈 投薬トリーツ💊 タブメイト!!

新しく販売された投薬トリーツが出ました!
こちらの商品は鶏肉を主原料とする従来の投薬トリーツとは違い
主原料がエンドウ豆なのでダイエット中もしくは鶏肉アレルギーで投薬トリーツが使えなかった人にもおススメです。
そしてべたつきにくく、適度な柔らかさでボロボロとくずれないので薬を包んで飲ませやすいです。
適度な柔らかさというのは、すぐに割れるような柔らかい薬を強めに押し込んでも割れたりせずに無事に包むことができます。
チキンフレーバーとサーモンフレーバーの二種類があり、当院でのワンちゃん猫ちゃんの試食会でもちゃんと食べてくれました。
内容量一袋あたり77g(45個)で、お値段が一袋1450円(税抜き)、1個当たり32.2円で、従来品よりは若干値段が安くなります。
是非!!お試しください!!




ガーガーガーッ、気管虚脱

気管虚脱という病気をご存じでしょうか??
気管は頚部から胸部にかけて走行しているのですが、その気管軟骨の形態が脆弱して平坦になるとともに、気管背側の膜性壁が伸長してしまうことで生じる発咳や呼吸困難を起こす重篤な疾患です。
犬猫ともに見られますが、殆どが犬で発症し、ガチョウの鳴き声を想像すると分かりやすいのですが、ガーガー鳴きながら舌はチアノーゼを起こします。
犬種では、トイ・プードル、ポメラニアン、ヨークシャーテリアなどの小型犬で経験します。
レントゲンで気管が細くなっていることを確認し診断するのですが、徐々に進行していきます。
(発咳当初のレントゲン画像)
(2年後のレントゲン画像)

2年経過するとは気管が明らかに細くなっているのがわかりますね。
当の本人もきついでしょうし、家にいても呼吸音が轟いているのでご家族もつらいと思います。
治療は軽症のものは、気管支拡張剤、コルチコステロイドなどのステロイド薬、鎮咳薬などの内科治療であり、重度のものは、外科治療として気管内ステントの設置、気管外プロテーゼ(PLLP)などの装着などが第一の治療と考えられます。
軽症のものや、重度だけど心臓・腎臓病などの基礎疾患で麻酔を掛けることが出来ないもの、費用面やその他の諸事情などで外科的治療ができないケースもあり、そういったケースでのポリ硫酸ペント酸ナトリウムを当院では使用します。
本剤は、もとは犬の骨関節炎症の治療薬および抗凝固薬として使用されているものですが、気管軟骨の軟骨基質の産生を促進したり、炎症メディエーターの放出を抑制したり、滑膜細胞を刺激してヒアルロン酸の生合成を促進したりする作用があります。
報告によると治療成績も31%が著効し、88.1%で何らかの改善がみられるようで、非常に成績は良いと思われます。
しかし、留意点として本薬剤で本質的に一度扁平化した気管軟骨が再生することは無いようで、気管軟骨を構造的に再建するものではなく、抗炎症作用などのその他の何等かの作用により症状を緩和するものと考えられます。
本薬剤の使用は1週間に1回ベースですが、長期的に、例えば1000回接種しても有害反応はなく、症状の改善を維持しているケースもあります。
気管虚脱を患っているワンちゃんのオーナー様方へ。

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