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腹腔鏡による肝臓生検

肝臓は上腹部横隔膜に面している腹腔内で最も大きい臓器です。
その機能は、栄養を合成・貯蔵したり、胆汁などの消化酵素生成・運搬、解毒機能など様々です。
最近では、2歳くらいの若齢でも肝臓の数値が高い例にも意外と遭遇することがあります。
肝臓の病気は様々で、腫瘍関連、銅の代謝異常などの代謝疾患、感染症、肝臓線維症など多岐に亘ります。
その際に原因を究明する方法が肝臓生検(病理検査)です。
通常は、胸骨下位の剣状突起から臍部まで開大します(下写真)。
当院では腹腔鏡を用いて行うため、術創が非常に小さくなるうえ(1㎝くらいが3つ)、侵襲が小さいため日帰りでの検査が可能です。

腹腔鏡では臓器を拡大して見ることが可能です。
腹腔鏡では肝臓、腎臓、腸、胃、すい臓、リンパ節などの生検を行うことが出来ますので、非常にメリットが大きいといえます。

青線が通常の切開ライン


17歳猫の尿閉

オス猫と異なりメス猫の尿道閉塞は稀です。
理由として、メス猫の尿道はオスよりも内腔が大きいため詰まりにくいためです。
今回17歳の高齢猫さんが、骨盤腔内尿道部に結石を詰まらせたことで急性腎不全に至り緊急対応しました。
腎臓マーカーであるBUNが>140㎎/㎗、クレアチニンが15.3㎎/㎗と非常に高値で、高カリウム血症を呈しておりました。食欲元気も廃絶しており、状況は非常に悪い様子でした。

また、本ケースでは閉塞部位が骨盤腔内であり、奥深い部位にあるために非常に解除がしにくい場所でした。結石自体のサイズは約10mmほど、レントゲンでは6個程度です。
暫くの入院管理ののちに、無事に膀胱内および骨盤腔内尿道の結石摘出手術を終えました。
術後の腎臓数値も安定化して、無事に退院となりました。
元気な姿で帰って頂くとうれしいですね、感謝です。

摘出した結石です、大きいですね。
猫は尿道のみならずの尿管でも閉塞が問題となっております。
おうちの猫ちゃんで最近尿検査、超音波検査をしていないという方、スタッフまでご相談ください。



新しい血液検査機器

本日は、新しい血液生化学検査機器の搬入でした。

この機器は必要な検体量がわずか100μlと少なく、ウサギ・モルモットなどのエキゾチックアニマル、幼齢の子犬・子猫、脱水を認める状態の悪い症例などでも用いることが出来ます。

最近はエキゾチックの患者様も増えてきておりますので、本機が活躍してくれることを願っています。
頑張らないとですね!

ソフト吸盤ピストルの誤食

皆様これを見たことがありますでしょうか??

子供用のおもちゃで以前から見かけるのですが、弾がソフト吸盤タイプになっているもの、これを誤食したケースに遭遇しました。
このタイプは弾性があり柔らかく噛み応えもあるためワンちゃんは好むようです。
一旦食べてしまうと、形状記憶しているため元に戻り、吐かせることが出来ません。
この子は内視鏡にて無事に摘出しました。


何気なく我々の身近にあるものでも、気を付けないといけない物があるなと考えさせられます。



ペットの育毛に如何でしょうか?

季節性の脱毛、乾性の脱毛など皮膚の発赤や炎症などを生じない脱毛👨‍🦲を見かけたことは無いでしょうか?
こういったケースでは痒み止めや抗ヒスタミン剤、抗生剤などは効きません。
毛乳頭細胞に働きかける方法がベストです。
働きかけるって?ではどのような因子があるのでしょうか?

VEGF(血管内皮細胞増殖因子)
:細胞分裂や分化を刺激し血管新生に関わります。マウスでは体毛の太さが増大する毛成長促進効果が認められています。

KGF/FGF-7(毛母細胞成長因子)
:ヘアサイクルの成長に関与します。毛母細胞の増殖促進、活性化に関与します。

BMP4(骨形成因子)
:毛包の分化や増殖などの細胞機能を調節し、伸長期に分泌が上昇する成分。毛包の休止期から成長期への移行を促します。

βカテニン
:毛乳頭細胞活性化のスイッチの1つとしてとして重要。βカテニンタンパクがDNAと結合し毛母細胞は毛の成長に必要なタンパク質を生産するようになります。

これら毛乳頭細胞の増殖、発毛の成長維持、発毛成長期への促進にシアルマリン(カタライザー)が効果的であり、VEGF発現はミノキシジルの5倍と高いのです。

このシアルマリンは以前ご紹介したとおり九州大学にて研究されているもので抗腫瘍効果があると書かせていただきましたが、育毛分野にもよいとのことで、すでに人用としても発売されております。

このカタライザーミストスプレーを当院でも取り扱いが可能となりましたので、ご興味のある方はご相談ください。


被嚢性腹膜硬化症

被嚢性腹膜硬化症とは、もとは人医学で命名された病態ですが、腹腔内を覆っている腹膜が腸、卵巣子宮、膀胱などを包み込んで癒着してしまう病態のことです。
当院でも、ここ数年で犬猫含め10頭ほどの症例に遭遇しております。
最も遭遇するのは、避妊手術の際に偶発的に発見するパターンです。
勿論、症状を示していない状況で、開腹して発見されるので、オーナー様も寝耳に水といった状況での事後報告となります。

開腹すると、ご覧のように小腸が膜性癒着しております。
適切な例えかどうかわかりませんが、「蜘蛛の巣に引っかかったものを丁寧にはがす感じ」です。

このように電気デバイスで慎重かつ丁寧に剝がしていきます。
小腸・大腸・卵巣子宮・膀胱が概ねくっつき合っています。
この状況では腹腔鏡手術は余計時間がかかり不向きとなります。

次は、症状有り、1歳猫の嘔吐症例です。
習慣的に吐く、食欲も徐々に無くなったとのことで当院で検査したところ、機能性イレウスにしてはおかしいため、開腹下にて精査しました。十二指腸、空回腸で膜性癒着しておりました。

このように十二指腸がS字クランク的に走行しており、漿膜面に腹膜が膜性癒着しております。

小腸も同様でした。
このこは手術後に、症状は消失しました。
これらの原因はまだ分からずですが、ここ数年増加しております。
徐々に当院も経験を積んで、概ねの対処法が分かってきたように思います。


やはり怖い、子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は未避妊、高齢のワンちゃんで発症します。
ホルモンバランス異常により、免疫力が低下し子宮内に大腸菌などの細菌が定着し蓄膿症に至ります。
根本的原因は、外科的子宮卵巣摘出となります。
合併症は様々ですが、今回はやや程度が重いもので壊死した子宮壁から血膿が漏出して、濃腹を起こしておりました。

状態は非常に悪く、敗血症から低血圧性ショック、血液凝固異常を起こしており、また術後も低血糖、急性腎不全となりました。

こちらは摘出した子宮の画像ですが、鑷子を通している箇所が穿孔部位です。ここから腹腔内に漏出したものと考えられます。
術後暫くの腹水管理、感染症管理、血糖値管理、血圧管理などを施しながら、昼夜ICUにて入院管理し、無事に回復・退院となりました。
「子宮蓄膿症は外科で取れば治る」では無く、全身疾患となり、病態に則った内科管理が治癒のカギと言えます。


薬価の価格変更

本年3月に、製薬会社(ゾエティスジャパン、物産アニマルヘルス、ビルバックジャパン)より薬価改正の通達がありました。
当院で取り扱いのある主な対象は
アポキル錠(3.6㎎、5.4㎎、16㎎)※アポキルチュアブルは据え置き
アピナック錠(6㎎、12.5㎎、25㎎)
コンセーブ錠(25㎎、100㎎)
プロナミド錠(5㎎)
ビクタス錠(10㎎、20㎎、40㎎)
リバフィットS
ダームワンペプチド
などです。
理由は原材料費、原油価格の高騰に伴う輸送コスト上昇などです。
それに伴い、恐縮ですが薬価を1錠当たり2円~10円上げさせて頂きたいと存じます。
多くのオーナー様方にご迷惑お掛け致しますが、ご了解賜りますようお願い申し上げます。






内視鏡の本

今回、新たに内視鏡の本を購入しました。
著者は九州の名医である高橋ペットクリニック院長の高橋雅弘先生です。

私も若造の新人時代に臨床のノウハウを叩き込まれましたし、ここからスタートしたくらい原点となったところです。
内容も分かりやすく、情報も充実しており、また内視鏡学を深めていきたいと思います。
地域のペット達のために、Fight !!


医療機器

先日、鏡視下手術用の光源装置の調子が悪くなったために、karl storzのKさんに来てもらい機種の入れ替えをしてもらいました。
従来のキセノンからLEDタイプに交換となります。
手術用の無影灯と同様に、こちらの光源も LEDが主流になってきているようで、省エネで長持ちします。
新しく機器を入れると、気持ちが引き締まりますね。


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