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インフォメーション 5ページ目

やはり怖い、子宮蓄膿症

【生殖器外科】
子宮蓄膿症は未避妊、高齢のワンちゃんで発症します。
ホルモンバランス異常により、免疫力が低下し子宮内に大腸菌などの細菌が定着し蓄膿症に至ります。
根本的原因は、外科的子宮卵巣摘出となります。
合併症は様々ですが、今回はやや程度が重いもので壊死した子宮壁から血膿が漏出して、濃腹を起こしておりました。

状態は非常に悪く、敗血症から低血圧性ショック、血液凝固異常を起こしており、また術後も低血糖、急性腎不全となりました。

こちらは摘出した子宮の画像ですが、鑷子を通している箇所が穿孔部位です。ここから腹腔内に漏出したものと考えられます。
術後暫くの腹水管理、感染症管理、血糖値管理、血圧管理などを施しながら、昼夜ICUにて入院管理し、無事に回復・退院となりました。
「子宮蓄膿症は外科で取れば治る」では無く、全身疾患となり、病態に則った内科管理が治癒のカギと言えます。


薬価の価格変更

本年3月に、製薬会社(ゾエティスジャパン、物産アニマルヘルス、ビルバックジャパン)より薬価改正の通達がありました。
当院で取り扱いのある主な対象は
アポキル錠(3.6㎎、5.4㎎、16㎎)※アポキルチュアブルは据え置き
アピナック錠(6㎎、12.5㎎、25㎎)
コンセーブ錠(25㎎、100㎎)
プロナミド錠(5㎎)
ビクタス錠(10㎎、20㎎、40㎎)
リバフィットS
ダームワンペプチド
などです。
理由は原材料費、原油価格の高騰に伴う輸送コスト上昇などです。
それに伴い、恐縮ですが薬価を1錠当たり2円~10円上げさせて頂きたいと存じます。
多くのオーナー様方にご迷惑お掛け致しますが、ご了解賜りますようお願い申し上げます。






内視鏡の本

今回、新たに内視鏡の本を購入しました。
著者は九州の名医である高橋ペットクリニック院長の高橋雅弘先生です。

私も若造の新人時代に臨床のノウハウを叩き込まれましたし、ここからスタートしたくらい原点となったところです。
内容も分かりやすく、情報も充実しており、また内視鏡学を深めていきたいと思います。
地域のペット達のために、Fight !!


医療機器

先日、鏡視下手術用の光源装置の調子が悪くなったために、karl storzのKさんに来てもらい機種の入れ替えをしてもらいました。
従来のキセノンからLEDタイプに交換となります。
手術用の無影灯と同様に、こちらの光源も LEDが主流になってきているようで、省エネで長持ちします。
新しく機器を入れると、気持ちが引き締まりますね。


猫の犬歯破折

【歯科】
室内飼育の若齢猫ちゃんが、2階の手すりから落下し上顎犬歯を破損したため、歯科治療で当院に来られました。
麻酔下で患部の状況を精査します。
御覧の通り、両側犬歯が途中で折れております。

左側は縦方向にも亀裂が入っております。このように薪割りのように縦に破折した場合、歯髄の状況によっては全抜歯となりますが、レントゲン等でも判断して修復で温存可能と判断しました。

破折面を適切な部位で切断して、丁寧に作業を進めていきます。

イメージ通りに仕上げていきます。

犬と比較して猫の歯の破折は数的に少ないのが現状と思いますが、犬と違い臼歯ではなく犬歯が多く、90%が露髄を伴います。
その原因は1位が落下事故、2位が吸収病巣です。
高所からの落下はお気を付けください。

腹腔鏡下避妊手術

【腹腔鏡外科】
人医では低侵襲医療として鏡視下手術が普及しておりますが、動物医療でも近年同様の傾向があります。
鏡視下手術とは細い硬性鏡を体内に入れることで、患部を大きく切開することなく小切開で処理をすることで、痛みが軽減され術後の早期回復をもたらし、退院までの期間が短縮され、術創も小さくなることもメリットといえます。
術者側としても、カメラを通じ拡大された視野の中で操作するため、細かい血管の走行を確認しながら作業を進められるために、丁寧な手術を行なうことが出来ます。

先般、15㎏の中型犬の腹腔鏡下避妊手術を行ないました。
通常の開腹手術では中型犬では10cm程度の切開創ができますが、腹腔鏡では各ポート1㎝程度を3か所切開します(第3ポートは摘出する卵巣・子宮のサイズによって開大します)。

このように3つのポートからトロッカーを挿入し、⓵電気デバイス、②硬性鏡、③鉗子を扱い操作します。


カメラ越しに卵巣にカウンタートラクションを掛けながら、処理していきます。


専用の長い電気デバイスを用いて処置します。


青線が通常の開腹手術ラインですが、比較的にコンパクトに済みますので、術後の回復はやはり早いと思います。
鏡視下手術は人医からの派生技術ですが、確かなメリットはありますね。
しかし、避妊手術に限っては当院では全ての動物に腹腔鏡下避妊手術を推奨していません。
体格、並行して他の手術を行なう(大型犬などの予防的胃固定)、オーナー様の考え、先天的基礎疾患の有無(被嚢性腹膜硬化症)などを鑑み判断します。



ゴールデンウィークの診療について

ゴールデンウィークがもうすぐ始まりますが、患者様からお問い合わせがあり掲載を忘れていました。申し訳ありません。
遅ればせながらGW期間中のに当院の診療日程は以下のようになります。


4月29日(月) 9:00〜12:00 (午前診のみ)
4月30日(火) 休診
5月 1日(水) 9:00〜12:00  16:00〜19:30
5月 2日(木) 9:00〜12:00  16:00〜19:30
5月 3日(金) 9:00〜12:00 (午前診のみ)
5月 4日(土) 9:00〜12:00 (午前診のみ)
5月 5日(日) 9:00〜12:00 (午前診のみ)
5月 6日(月) 9:00〜12:00 (午前診のみ)
5月 7日(火) 休診

5月8日から通常診療となります。

フィラリアおよび狂犬病ワクチン予防が始まっており混雑が予想されますので、WEBで順番予約をされてからのご来院をお勧めいたします。
WEB予約での順番が取れない場合は仰ってくださいませ、こちらPCでお取り致します。

シアルマリンの購入が可能となりました!

今回、ご紹介するのはシアルマリンという海洋性堆積物の原料を用いたサプリメント製品です。
シアルマリン研究は九州大学の故 白畑教授、現在は富川准教授がその研究を引きついでされている分野です。
シアルマリンは遥か30万年以上前の海・山の堆積物が、発酵と分解を繰り返したもので、ミネラル・アミノ酸などが豊富に含まれ、今わかって研究成果として、
⓵抗腫瘍効果:ガンの増殖抑制、血管新生抑制、アポトーシス誘導、免疫増強、インターロイキン(IL)活性化
②抗アレルギー:ヒスタミン合成抑制や放出抑制、IgEレセプター発現抑制
③抗糖尿病効果:インスリンレセプター活性抑制、血糖値の上昇抑制、
④抗菌性:非共生菌(大腸菌など)への抗菌作用、共生菌(麹菌)への増殖成長作用
⑤腸内環境の改善:善玉菌の増殖、悪玉菌の減少、ガスの吸着や分解
などがあります。
今後のその成果に期待したいですね。
今挙がっている報告例としては、慢性皮膚症、慢性腸症、腫瘍などで用いられケースが主です。
当院での取り扱いが可能となりました。
剤形として、液剤と顆粒タイプがあります。
現在、治験として、1か月間のモニターも行っておりますので、ご興味のある方はご相談ください。





鶏の骨の誤食にご注意を!

【内視鏡科】
鶏のから揚げは美味しいですよね。

しかし、ワンちゃんにそのまま与えると肉だけでなく、骨まで飲み込んでしまいます。

鶏の骨を食べるのは大変危険なんです、ご存じでしょうか??

何故かというと、鶏の骨は割れると鋭利ですので、食道、胃、腸などに損傷を与え、場合によっては穿孔し、腹膜炎を起こし、開胸・開腹手術を行なわなければいけませんし、程度によっては死に至ることもあります。

また、誤食した場合、吐かせる処置をしますと、胃や食道を傷つけてしまいます。

この場合は、麻酔下で内視鏡にて丁寧に摘出するのがベストです。

つい先般も、鶏骨誤食ケースに遭遇しまして、何とか対処いたしました。

(レントゲン画像:胃内に多数の骨が映っております)



(内視鏡下にて摘出)


予想以上に骨以外の食さが多く、骨と食さとの見分けがつきにくい中での作業となりました。また、食べた骨の本数も形状も分からないので、どれくらい取ればよいのか、逐一レントゲンを撮りながらの作業となりました。



(処置後)

何とか、無事に処置を終えて退院となりました。
ワンちゃんを預かった身として無事に帰って頂くと本当にホッとします。
猫ちゃんは鶏の骨の誤食は経験がないのでわからないのですが、兎にも角にも鶏骨はご注意ください。


生薬「Huaier」について

西洋医学のアロパチー(対症医学)に対して、古くからの伝統医学でナチュロパシーがあります。
ナチュロパシーとは本来の体が持ち合させている、恒常性を保とうとする生体反応「振り子でいう元に戻ろうとする作用」を高めようとするものです。
体の自然治癒力を上げるため、栄養療法・東洋医学・ハーブ療法など色々とありますよね。
今回、ご紹介しますのは、このナチュロパシーに分類されるもので、「Huaier」フアイアについてです。
フアイアはキノコの菌糸体の抽出物で、元より中国で癌に対して使用されていました。
2019年にフアイアから糖鎖の一種である「TPG-1」という成分が、細胞の伝達に関与し、抗腫瘍、抗炎症、免疫調整作用を発現されるとの報告がなされました(Journal of Biological Chemistry)。
また、2018年には肝臓がんの術後の無再発生存率がコントロール群と比較して、有意差が認められたと報告されました。
病気は免疫システムの不調が原因で生じます。
⓵免疫が低下する→ガン、感染症
②免疫が暴走する→アレルギー疾患、喘息、腎炎、リュウマチ、膠原病
免疫は低下したり、暴走したりします(混沌)。とどのつまり、免疫は或るところでは低下し、他方では亢進するので、どちらかに偏るだけではないというものです。
フアイアは細胞を安定化させ、これらの異常に満ちた免疫機構を中庸化することで、その作用を発現します。
獣医学領域では、
肝臓がん、乳がん、肺がん、大腸がん、胃がんなどのガン疾患
腎不全
肺炎や喘息などの呼吸器疾患、
アトピーや食物アレルギーなどの皮膚疾患
などに用いられております。
今回、当院でも「Huaier」フアイアを含んだ製品を取り扱いが可能となりましたので、ご興味にある方はご相談ください。

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